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上杉鷹山は読んで感銘を受けた本

2013/01/07

上杉鷹山
童門 冬二 (著)
(Amazonより参照)



内容

(「BOOK」データベースより)
 灰の国はいかにして甦ったか。九州高鍋の小藩から養子に入り、十七歳で名門上杉家の藩主の座についた治憲は、
自滅か藩政返上かの瀬戸際にある米沢十五万石を再建すべく、冷メシ派を登用し改革に乗り出す。
 藩主や藩のために領民がいるのではない、との考えのもとに人びとの心に希望の火種をうえつけてゆく…。

2013/01/07
 前から読もうと思ってた本でした
上巻を手に取り、その夜に読んでしまった、流石に次の日は眠かったので
一晩明けて次の日にはほぼ下巻も読んでしまった。
 こんな事は今までにかったんですよ
天地明察(冲方 丁 )は途中で飽きてしまって他を読んでもう一度続きから読んだ
(天地明察は最後当たり面白かったですよ)本もありますからね
 内容が面白かったのか、作者の書き方が私に合ったのか、不思議ですよね。

 ジョン・F・ケネディと上杉鷹山の話は聞いてましたから、興味はあったんですよね
もしかすると財政再建はここにあるのかも知れませんね。


 上杉鷹山は上杉謙信から十代目の藩主だったんですね、そして十歳で米沢藩主上杉重定の養子となり、十七歳で藩主となった。

 上杉鷹山(治憲)は藩主ではあるがまだ藩地の米沢を知らなかった
池の中の魚を藩邸の家臣に見立てて、ハヤやヤマベ組、金魚組、鯉組と見ている
「ハヤやヤマメは自然界からここに入れられこれは冷や飯食い(金魚に煙たがられる人)だが泳ぎが早い、
金魚は泳がず池の底に座っている(休まず、遅れず、仕事せずの人)、そして上杉家には鯉はいない藩政を改革する鯉はいない」と、
 この当たりの表現は面白いですね、そのとき治憲はまだ十七歳だった、この若さでこんな事が考えられるとは、信じられません。

 それは彼が十四歳からの彼の師の細井平洲の言葉「政治の元は道義でございます」
ちなみに道義は、「人としての正しい道を守るべき責任」だそうです
「政治を行うものはまず徳を養わなければならない」と言う、治憲が藩主になるための態度を平洲が教えたものようですね、

上杉鷹山の師細井平洲の人間学 人心をつかむリーダーの条件

 彼の小姓の佐藤文四郎もまた平洲の弟子だった、文四郎は池の中では、ハヤで金魚にうとまれる存在だった
借金だらけ(日本みたい)の米沢を変えようとして色部(藩士、金魚)に
「重役どもは自分たちの面子や相手の顔を立てることばかに時間を費やし
結局、何の成果も上げないではないか」と言いたのを口には出さず、
「手続きにひどく時間かかる方法では駄目だと思う」と柔らかく批判する
相手の立場を思う、徳を感じる場面と思いませんか。

 そして治憲は言う、「改革とは政治を変えることではない、政治をおこなう人間が自ら変わることだ、
変わるとは自分の中に巣くう、そうゆう敵と戦うことだ、最大の敵は米沢藩の赤字よりも、
米沢本国の重役たちを滅ぼさなくてはいけないことかもしれない」と。
日本も変わらないとね

 治憲優しさが現れているには、障害者の妻、幸姫の対し方なんですよね
側室を進められる治憲は言います「姫はこの世の人間ではない」「幸姫は天女だ。天女を裏切ってはならぬ」
側室は妻にとっては、この時代でも嫌な存在、彼は妻を思いやってそれをしなかった
涙が出る優しさ。

 そして彼が十九歳の時に初めて米沢に行くときに、米沢の地が近づくにつれ、自然も死に、
領民も希望を持てず死んでいるように感じて自らが不安になり、駕籠の中でふと見た煙草盆の灰のようだと思う。

 その灰をかき混ぜると小さな火種が残っていた、彼はこの火種に勇気をもらう、「この火はさらに新しい火をおこす」と。
ここは良いところですよね。

 米沢に就いて、初めにしたのは、大広間に足軽に至るまで集め、米沢の実情を話し、自分の非力を正直に話し、その上で協力を願った。
これも治憲が揺るぎない自分(自尊心)を持ち、徳のある人だからできること、それもこの若さで、全く考えられないですね

 その行く手には様々な難題が押し掛かるが、治憲は変わらなかった
そして改革の第一人者の竹俣が改革を焦るばかりに、道を踏み外す、この当たりは、権力を持つと流される、人間の弱さが見えます。
 しかし彼も最後には命をかけて治憲に直訴して隠居していた治憲を動かす。

 物語に藩の金魚の事を「休まず、遅れず、仕事せず」の表現があるのが実に面白い
これは民間の会社なら潰れるとの作者の皮肉と思わずにはいられない。
 もしかすると日本を救う教えは、上杉鷹山かもしれません

 改革とは自分を変えることとは、もしかすると日本国民全てに当てはまる事のように思います、違いますか。

 周りが問題ではなく、自分が変われば良いんですと、聞くことがあるが、そうかもと思いますね

自助(自ら助ける)
互助(互いに近隣社会が助けあう)
扶助(藩政府が手を伸ばす)

過てば則ち改むるに憚ること勿かれ
(過(あやま)てば則(すなわ)ち 改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(な)かれ)
孔子の言葉のようですが、藩主である治憲も誰に対してもこの言葉通りに謝る姿が、良いですね

為せば成る
為さねば成らぬ何事も
成らぬは人の為さぬなりけり
これは上杉鷹山の言葉だったとは、知らなかったです
(武田信玄の言葉を一部変えたようですが)


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